「部屋」松山公演 無事終了しました。
連休とお祭りのなか足をお運びくださいました皆さま、ほんとうにありがとうございました。
そして、今年もあたたかく迎えてくださったシアターねこの鈴木美恵子さん、照明家の高山泰秀さんはじめ、お手伝いくださった皆さんに心より感謝申し上げます。
また、アフタートークにお越しくださいました、けもの製作委員会代表・劇団まんまるの忽那一樹さん(若い世代からみた時代と普遍という興味深い視点だけでなく場を和ませるお話も)、松山大学人文学部社会学科教授の石川良子さん(「フィールドワークをする人」としてひきこもりの研究をされていて、世界の底が抜けてしまった、という言葉がひどく胸に残りました)、別役さんが書いた「浮遊感」と「半日常性」ということを鍵にして流れを捌いてくださった鈴木さんに(私が巧く話せず申し訳なかったのですが……)御礼申し上げます。

シアターねこに伺うのも6年目となり、別役さんの作品を楽しみにしてくださる方もいらして、ほんとうにありがたく思います。アフタートークで松山のお客様の印象を問われたりしたのですが、真剣にみてくださる、ということに尽きます。今回も客席にみっしりとした空気があり、この作品に描かれた孤独をそのまま受け取ってもらえたような感覚がありました。
とても身につまされてつらいと仰る方もあり、また、わかってくれるひとがいるのだと光をみたと仰る方もあり、いずれにせよ、このどうしようもない淋しさ、しかしそれが誰かに届くことが、そのようなひとがいたと知ってもらうことが、ぎりぎりの救いになるのではないかと思います。
こういうのも何ですが、この作品に描かれる「女」の孤独は、私にとってすんなりと落ちてきて(芝居ができるかは別として)、作品をつくる過程でうまく説明できずに困ってしまうこともあったりしたのですが、公演を終えた今、謂わば彼女とともに救われたような、それでいてひどく後ろ髪を引かれるような、何ともいえない心地でおります。こうしてまたきっとこの作品に、だけでなく別役さんの作品に、私は戻ってくるのだろうと思います。


これにて、広田ゆうみ+二口大学「部屋」ツアーは終了しました。
各地の皆さま、改めましてまことにありがとうございました。
また、内輪で何ですが、今年もこのツアーを力強く手厚く牽引してくださった油田晃さんに厚く御礼申し上げます。相変わらずの至って地味な企画ですが、油田さんが支えてくださったおかげで、それでもそこに居てよいと思えるというのか、とにかく心丈夫に進むことができました。ほんとうにありがとうございました。
うっすらと暗雲に覆われ続けているような状況ですが、それでも、なんとか続けていきたいと思っております。
またどこかの劇場で、できれば憂いなく、おめもじできますよう。

広田ゆうみ
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