『クランボンは笑った』三重公演 無事終了しました。
ご来場くださいました皆さままことにありがとうございました。おなじみの方、はじめての方、遠方から来てくださった方、多くのお運びをいただき感謝しております。
また、毎度ながら手厚く迎えてくださいました津あけぼの座の皆さま、お手伝いくださいましたカミハマ演劇研究所の皆さまにも心より御礼申し上げます。
そして、アフタートークにいらしてくださった写真家の松原豊さんも、ありがとうございました。「わからない」ことの豊かなお話をしていただけて、とてもよい時間でした(アフタートークのあとお話も面白く、むしろお客様に聞いていただきたいくらいでした)。

三重公演にあたって、一昨年の『いかけしごむ』、昨年の『この道はいつか来た道』に比べて「わかりにくい」作品だから……という話もしていましたが、あにはからんや、むしろわかる、とか、或る意味リアルだった、とか、或いは、なんだかわからないけどよかった、という声をいただき、ありがたい限りでありました。
三年目の積み重ねということもあるかと思いますが、何しろ別役さんの作品世界の力を改めて感じました。
「わからない」ことをそのままに、ぎりぎりのところで「いる」ということを届けられたなら、それが皆さまのどこかに響いたなら、と思います。
問いを問いのままに。夜を夜のままに。

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子どものころ読んだ科学読本シリーズのようなもので、「空間」について書いてある巻がありました。その一頁に、ごく小さな箱の中に立っている人の挿絵と共に、「ある場所にきみがいたら、そこにはもう決して他の誰もいることができない、空間というのはそういうものだ」というようなことが書いてありました。
内容自体の記憶は確かではありませんが、その頁を読んだときに覚えた感触は、はっきりと憶えています。
何故かひどく恐ろしくて、けれどもうつくしくて、ああ、これはほんとうにほんとうにほんとうのことなのだ、と思ったのです。
まるで、決して明けない、しかし月の光がどこまでも降り注ぐ夜に立ち尽くすように。

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次は8月、シアターねこへ参ります。
また改めて精進いたしたく、どうぞよろしくお願いいたします。

広田ゆうみ

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